東京都トラック協会(星野良三会長)は、「2009(平成21)年に会員事業者の交通死亡事故を半減する」という目標を計画通り達成しました。
この目標は、2007(平成19)年の新年理事会で星野会長が映像記録型ドライブレコーダー(DR)を会員保有車両の半数に装着し、交通事故を大幅に減少させ都民生活を守るとして「3年間で会員事業者の交通死亡事故を半減する『事故半減3か年計画』」を掲げたのがスタートでした。東ト協が設定した数値目標は、計画スタート年である2007年の直近2年間における都内(警視庁管内)で発生した東ト協会員関与事故(第1当事者)の平均とし、死亡事故については警視庁の協力で把握した2006年の14件および2007年の21件の平均18件の半数に設定しました。
東ト協の調べによると2009年の都内(警視庁管内)における会員関与(第1当事者)の交通死亡事故は6件で、目標として設定した9件を3件下回って目標達成したものです。星野会長は、目標達成に対して、2010(平成22)年の年頭所感や新年理事会で「会員事業者全員のご努力によりまして目標を達成することができました。改めて、東京都トラック協会全会員事業者の皆様に厚く御礼を申し上げたい」と感謝の意を表しました。
東ト協が進めた「事故半減3か年計画」を概観すると、当初はDRに対する会員の認知度アップ・理解の深化から装着促進を図ることに力点が置かれました。そのためDR機器説明会・展示会を本部・支部で開催するとともに、星野会長が先頭にたってさまざまな機会を捉えてはDR効果のPRに努めました。同時に装着促進のため、東ト協はDR装着助成制度を創設し、また東京都に支援策を要望し、支援を実現しました。こうしたことから、DRに対する理解が深まるとともに、装着効果を会員が実感するようにもなりDR装着が進みました。半減計画最終年の2009年には、東ト協会員保有車両約8万台の半数に近づく3万5千台にDRが装着されているとみられています。
星野会長は2010年の新年理事会あいさつで「走行中の追突を原因とする死亡事故が発生しなかったのはDRの効果と考えられる」との見方を示しています。DR装着効果を星野会長は、「ドライバー自身が安全運転していると思っていても、自分自身では気がつかないうちに『ヒヤリ・ハット』(危険挙動)を生じるような運転行動をしていることがある。それをDRで運転者自身が見ることで『習慣的で無意識的な悪い運転行動』を確認し、直すことができる。それで『ヒヤリ・ハット』を無くし、事故の要因を少なくすることができる」と説明しています。
東ト協は、DR装着促進を図るとともに、営業用トラック関与の死亡事故が発生した場合、すぐに「トラック事故速報」を作成、その情報を支部を通じて会員事業者に送付し、注意を喚起するなど、事故防止への取り組みも同時に進めました。「トラック事故速報」は、警視庁の協力で作成するもので、事故の「日時・発生場所・事故概要・事故状況」を図解説明しており、事故防止に役立ててもらうのがねらいです。このほか、営業用トラック関与の事故が多発した場合は、緊急事故防止対策を要請するなど、機会を捉えては会員事業者に事故防止の取り組み徹底を要請してきました。
次のステップは、交差点での事故防止対策の推進です。東ト協では都内での営業用トラック関与の死亡事故が交差点で多発していることに着目。その傾向分析を基に事故防止策を策定し、「交差点は危険地帯」と強くアピールするとともに、会員事業者に事故防止策を周知しました。各支部でも恒例の事故防止講習会などに加え緊急事故防止講習会等を開催し、交差点事故防止などを会員事業者やドライバーに繰り返しアピールしました。
警視庁も交差点事故防止を大きなテーマとしてクローズアップさせ、東ト協に交差点事故防止への協力を要請しました。東ト協では、会員事業者・ドライバーに、歩行者や自転車などへの注意喚起の目的で作成した「青だけど車はわたしを見てるかな」ステッカーを、必ず運転前に見えるようドアノブ上部等への貼付を改めて要請しました。 さらに東ト協では、交差点右左折時などに最徐行や一時停止の必要性をドライバーに認識してもらうとともに、運転行動を後続車に理解してもらい追突事故を防止するために「一時停止告知ステッカー」を作成、トラックへの貼付運動を2009年から開始しました。
「一時停止告知ステッカー」には、「私は右左折時に 横断歩道手前で 安全確認のために 一時停止します」との文言が書かれ、(1)交差点事故防止には一時停止が必要なことを運転者に再認識してもらう(2)安全運転することを後続車等に表明して、右左折時の安全確認を一層徹底することで巻き込み事故や追突事故防止を図る──のが目的です。
最終段階では、2009年2月から東ト協が提供しているラジオ番組を利用して直接ドライバーに交差点での事故防止を呼びかけました。そのため放送回数を大幅に増やし、「目標達成は運転者の双肩」にかかっているとして、事故半減目標達成のための第一線にいるドライバーに自覚を深めてもらい、同時に「交差点での右左折時の一時停止と十分な安全確認」等を直接呼びかけました。
東ト協が2007(平成19)年にスタートした「事故半減3か年計画」に基づく事故防止の取り組みの結果、2008(平成20)年には都内で発生した会員関与の交通死亡事故が11件(第1当事者)と2007年の21件(1当区分不可)に比べ48%減少する成果となりました。営業用トラック全体の死亡事故を見てみると、2007年は55件、そのうち東ト協会員関与は21件。2008年が全体では41件、このうち東ト協会員関与が11件となっています。 07年から08年では、東ト協会員以外の営業用トラック関与の死亡事故は、34件から30件へと4件(12%)減少しましたが、東ト協会員関与では21件から11件へと、10件(48%)の大幅減少となっています。
2009(平成21)年の都内で発生した死亡事故を見ると、営業用トラック全体では40件で、そのうち東ト協会員関与は11件ですが、第1当事者となった死亡事故は6件です。東ト協会員(1当)の事故は08年の11件に比べ5件(45.5%)の減少となっています。東ト協会員以外の営業用トラック関与の死亡事故は29件ですから、08年に比べ1件(3.3%)減となっています。東ト協の事故防止への努力が数字で示されました。
項目 年 |
死 亡 事 故 件 数 | |
総件数 | うち会員関与一当 | |
2007(平成19) | 55 | 21(一当区分不可) |
2008(平成20) | 41 | 11 |
2009(平成21) | 40 | 6 |
死亡事故半減目標件数 (※注2) |
- | 9 |
東京都トラック協会は、2008(平成20)年度から全国交通安全運動において本部と支部が連携して交通安全活動を展開、2009(平成21)年度も、春・秋の全国交通安全運動期間中に実施しました。
春の全国交通安全運動では、4月10日に20支部が各警察署の協力を得て都内51か所で、交通安全、飲酒運転撲滅、交差点での巻き込み事故防止のための確認や自転車・二輪車の事故防止を呼びかけました。
秋の全国交通安全運動期間中の9月30日に行われた本部・支部連携の活動では、環状七号線と湾岸道路を中心に、同道路に面した関係支部が通勤・通学時間帯をメーンに主要交差点計17か所をはじめ43交差点で横断旗を使用して歩行者や自転車への安全誘導を行い、交通安全を呼びかけるノベルティやチラシを配布して事故防止を呼びかけました。環七通り・湾岸道路の主要交差点を〝事故防止活動の輪〟で結び、一周することで東ト協の事故防止活動を社会的にアピールし、活動への理解を深めてもらおうというものです。
本部・支部の連携は、東ト協各支部が地元で日常的に実施している事故防止活動とともに、東ト協全体として事故防止活動を展開することで、東ト協事故防止活動の〝見える化〟を図り、社会的にインパクトを強くし、より効果的に交通安全・事故防止への啓発効果を高めようというものです。
関東トラック協会(会長・星野良三東京都トラック協会長)は2010(平成22)年2月17日、「首都高速道路における交通事故防止方策検討調査結果」を発表しました。首都高速道路で発生した大型貨物車重大事故の発生状況と構造を把握・整理するとともに、発生原因を人・車両・道路構造から分析し、それぞれの面から事故防止方策を役割分担を含めて提言したものです。「人の面からの対策」では(1)トレーラ・トラクタ特性に関する安全教育の早急な実施(2)過労運転の防止(3)確実な点呼体制の確立(4)緊締装置(ツイストロック)の4点ロックの確実な実施、「道の面からの対策」として(1)「首都高速道路における事故多発地点危険マップ(仮称)」の作成、有効活用(2)道路設備の改良(3)「安全速度の設定」や制限速度の見直し、「車の面からの対策」では(1)ASV技術「カーブ進入危険速度抑制支援システム」の早期開発(2)タイヤの空気圧と温度のモニタリングが可能なシステムの導入促進、車輪の脱落防止、「車と道の面からの対策」では(1)高機能デジタルタコメーター等の開発、普及(2)ITS技術を活用した安全運転支援システムの開発──の11事項について、業界で実施するとともに、行政や自動車メーカー、道路会社に対して要望、連携を求めたものです。
関ト協は2008(平成20)年8月、2009(平成21)年2月に、首都高速道路で大型貨物自動車による重大事故が頻発したことを受け、首都高速道路における事故防止方策検討会(座長=結城幸彦東京都トラック協会副会長・事故防止委員長)を設置、2009年4月17日に初会合を開きました。メンバーは、1都7県のトラック協会、関東運輸局、道路管理者(首都高速道路(株))、大型トラックメーカー(4社)の委員の他、警視庁および全日本トラック協会がオブザーバーとして参加しました。
トラックの交通事故は、一度発生すると大きな影響を与えることが多く、しかも首都高速道路で社会的に影響を与えた大きな事故が多発したため、業界が率先して事故防止に取り組まねばならないとして検討会を立ち上げたものです。 その後、首都高速道路視察、1都7県の大型貨物自動車(トレーラ)のドライバーを対象としたアンケート調査(479人が回答)等を実施し、4回の会合を経て2010年2月1日に最終報告書案をとりまとめて発表に至りました。
関東トラック協会による首都高速での事故防止方策検討の背景には、2008(平成20)年からの大型車の横転事故多発があります。同年4月21日(20トン積載のトラクタ・トレーラが、速度オーバーのため右カーブで横転)▽5月22日(19.2トン積載のトラクタ・トレーラが右カーブを曲がりきれず横転)▽7月29日(1.1トン積載のトラックが、運転操作を誤り中央分離帯に衝突・横転)▽8月3日(ガソリン・軽油積載のトラクタ・トレーラが右カーブを曲がりきれず横転・炎上)▽10月6日(500キログラム積載のトラックが、落下物回避のため右に急ハンドルを切ったため、右側壁に衝突)▽2009(平成21)年2月14日(21トン積載のトラクタ・トレーラが左カーブで曲がりきれず横転)▽3月25日(産業廃棄物積載のトラックが、左カーブを曲がりきれず反対車線に飛び出し横転)──などで、特に8月3日に発生した横転・炎上事故は長期間にわたって高速道路の一部が閉鎖されました。
こうした首都高速での事故多発を受け、東京運輸支局は2009年3月26日付で東京都トラック協会に「首都高速道路におけるトラックの横転事故の防止について」を連絡し、会員事業者が横転事故防止策を徹底するよう周知を求めました。
東京都トラック協会(星野良三会長)は、2009(平成21)年2月に会員事業者の中から無作為に抽出した1千社を対象に「緊急経営実態調査」を実施しました。2月6日から2月13日までに調査票を発送し、2月23日到着分の362社(車両数合計1万1,388台、1社平均約32台)からの回答を集計したものです。
星野会長は調査直後の3月3日に記者会見して調査内容を発表、同時に国土交通省、東京都、東京都議会、都議会自由民主党を訪問して調査結果を説明するとともに、調査結果を踏まえた要望活動を行いました。
星野会長は、「これほど書いてくるということは、本当に切実な状況だということ」と、調査結果から〝にじみ出る〟本当に大変だという会員の声を聞いてほしいと訴えました。また、業界からは〝紳士的(おとなしい)〟と評されている東ト協ですが、今回の調査には「本音が出ている」として注目され、話題となりました。
要望活動では、「廃業・縮小」などの危機感を抱えながら輸送サービスを担っている事業者の「生の声」をそのまま示し、「事業存廃の岐路に直面する非常事態下」にあるトラック運送業界の実情を訴え、国土交通省に(1)最低運賃・標準運賃の設定等規制緩和の見直し(2)輸送秩序の確立(3)高速道路料金の引き下げ(4)軽油価格の引き下げ(5)融資制度の充実(6)駐車問題への対応──を、東京都、東京都議会、東京都議会自民党には融資制度の充実、高速道路料金の大幅な引き下げ、駐車問題への対応──を求めました。
この調査の目的について星野会長は、「米国の金融危機に端を発した〝百年に一度の経済危機〟のため、会員事業者から『協会はもっと頑張ってほしい』との声があり、それに応えるためには、会員の経営実態や実情を把握する必要がある」ためと説明。「調査には、特に各社で当面している実情や問題を掘り下げて書いてくれた。本当に大変だということが実感できる」と厳しい実情が浮かび上がっていると強調しました。さらに「東京の事業者は、どちらかというとおとなしい。それがこれほど書いてくるということは、本当に切実な状況だということだ。会員の声を加工しないでそのまま読んでもらうようにした」と、切迫感を受け止めてほしいと求めました。
世界金融危機は、2007(平成19)年の米国でサブプライムローン問題を切っ掛けとした住宅バブルの崩壊や多方面での資産価値の暴落が起こり、2008(平成20)年9月15日には米国の有名な投資会社であるリーマン・ブラザーズの倒産を契機に世界的な金融危機へと波及し、日本でも日経平均株価が暴落するなど景気が悪化しました。
東ト協の「緊急経営実態調査」によると、運送事業の収支状況は、(1)黒字13.8%(2)ほぼ均衡25.1%(3)赤字59.1%──と6割の事業者が赤字です。特に赤字は10台以下62.9%、11~20台68.9%、21~50台56.0%、50~100台52.9%と、小規模・中間層が厳しい状況となっています。 輸送量と運送収入(売上高)を2009年度上半期(直近)と前年度上半期(前年同期)と比べると、輸送量が(1)増加14.9%(2)減少76.8%、運送収入が(1)増加14.4%(2)減少79.8%──と輸送量と運送収入がパラレルな傾向を示しています。この傾向は車両規模で差はみられません。
運送原価の把握は、(1)全車両把握44.5%(2)一部車両把握37.6%(3)していない12.4%(4)無回答5.5%──と把握している事業が多いことがわかります。
経営上最も重要と考える問題(上位3位を回答の複数回答)では、(1)受注量減少(2)採算性悪化(3)受注単価低下(4)取引先減少(5)輸送コスト上昇(6)資金繰り悪化(7)借入金増加(8)乗務員高齢化(9)資金調達難──などとなっています。また、今後の運送事業の方向性について、(1)現状を維持したい56.1%(2)拡大したい17.4%(3)縮小したい12.7%(4)廃業なども考える9.1%──などで、2割強の事業者が展望を見い出せない様子が窺えます。
会員事業者の意見(原文通り)を紹介すると ▽受注の減少に対応し、車両の削減・コスト削減を実行すること。これが出来なければ早晩破綻する▽長い間この事業をやって来ましたが、今日のような不況に直面したのは初めてです。今はただ景気の回復を願うばかり、我慢してやるしかないです▽最低運賃制度のようなものを決め、それを下回っている荷主に罰則を与えるか、それを守らない運送事業者に罰則を与えるなどしない限り、運賃は上がらないと思われる▽政府の中小企業に対しての仕組みが悪い。銀行に対して資金に対してもっと円満に融資できるように ──など162社が、(1)コストの削減・見直しで対応(2)燃料代、高速料金の値下げ(3)融資制度などの充実(4)営業力を強化し、受注量を増やしたい(5)軽油引取税の廃止等、国、政治がしっかりした対策を(6)最低運賃制など、規制緩和の見直し(7)我慢して、何とか現状を維持(8)適正運賃収受が不可欠(9)資金調達・資金繰りに苦労(10)景気回復に期待(11)運転者教育が大事(12)駐車問題への対応(13)不正事業者の根絶(14)雇用安定助成金──の14事項(東ト協が内容整理)に169の意見を寄せています。
東京運輸支局が対応 東京都トラック協会は、2009(平成21)年2月27日付で東京運輸支局に「地方自治体等におけるトラック輸送に係る運送契約について」を要望、自治体が発注するトラック輸送について、「正直者がバカを見ないよう」にコンプライアンスや届出運賃を考慮し、東京の事業者を利用するよう求めました。
これに対して東京運輸支局は2月27日付で東京都知事に、「トラック運送業者との運送契約について(お願い)」を発出。トラック運送事業者と運送契約を締結する」にあたっては、「地域の運送事業者の健全な発達を図る上でも社会保険未加入等の不適正な事業者との契約は避けていただくとともに、輸送の安全に係るコスト等に見合った適正な運送取引」への理解と協力を求めました。同支局では、都内の全区市町村にも同様の要請をしました。
東ト協の「要望」では、多くの運送事業者が事業存廃の危機的状況に追い込まれている中、コンプライアンスを無視した事業者や利用運送を前提として度を超した値引きを行って契約する者など、公平性を欠くいわゆる「正直者がバカをみる」状況が顕在化しているとし、地方自治体等が発注するトラック輸送契約の一般競争入札においては「届出運賃・料金の範囲」を逸脱した値引きにより契約・受注している事業者が常態化していると指摘。
そのため、各地方自治体等のトラック輸送の入札にあたっては、(1)社会保険等への加入状況等、コンプライアンス徹底事業者を条件とすること(2)貨物自動車運送事業法第26条(事業改善命令)に抵触しない平成2年届出運賃の上下20%の範囲内、かつ、各貨物自動車運送事業者が届出している運賃・料金の上下10%の範囲内で応札させるとともに、入札者には届出済みの運賃料金表を添付させることとし、落札はこの範囲内での決定となるようにすること(3)東京都を使用の本拠地とする車両で運行することを条件とすること──を留意した予定単価の設定、契約などを行うよう各自治体の長に働きかけることを要望したものです。
東京都トラック協会は、国土交通省が実施する中小トラック事業者の省エネへの取り組み支援(助成)策の説明会を開催、会員事業者に同支援策を〝経営資源〟の一環として積極的に活用するよう呼びかけました。この支援策は景気の後退で厳しい経営環境の中、燃料価格の高騰対策として省エネへの取り組みを支援するもので、支援対象の拡大が図られながら実施されました。
2008(平成20)年度第1次補正予算で「中小トラック事業者構造改善実証実験事業(省エネ補助)」が2008年11月4日から11月28日までを申請受付期間として実施されました。この事業は、保有車両5台以上20台以下のトラック運送事業者を対象に、省エネ運転の実施等の取り組みで概ね5%の省エネ効果を上げた事業に、実証実験期間中の経費の2分の1(上限100万円)を補助するものです。対象となる事業者は保有台数枠の他、総費用に占める燃料費の割合が概ね20%で、社会保険等に加入していることも必要です。
補助対象となる取り組みは、省エネ運転の実施、配送経路の見直し、共同輸配送の実施、デジタコやドライブレコーダーなど省エネ機器の導入、講習会の開催・参加など省エネ実験に必要な経費で、実験対象期間は12月15日から2009年2月15日まででした。
その後、2008年度第2次補正予算成立(2009年1月27日)を受けて、「中小トラック事業者構造改善支援事業」が開始されました。この事業は、第1次補正予算で実施された事業と同様の内容ですが、補助申請対象者を、保有車両5台以上30台以下(前回は20台以下)に拡充しました。この事業はさらに3回目の申請受付では、対象事業者を保有車両5台以上と上限を無くすとともに、燃料費が総経費の5%以上として要件緩和を図りました。 東ト協は、この中小事業構造改善事業に対し、第1次補正予算での実施では2008年11月18日、第2次補正での実施では2009年4月16日、6月12・17・19日に関東運輸局の担当官による説明会を開催し、会員事業者への事業浸透を図り、同時に申請受付・相談窓口を増設し、申請・相談時間を延長、さらに土・日・祝日にも対応しました。 こうしたことから、3回の合計で東ト協会員から1,037社・9億9,880万8千円の申請額を受付、国交省から1,033社に8億8,509万7千円の補助金が認められました。なお、全国で申請したのは約1万588社です。
東京都トラック協会は、急速な景気悪化で資金繰りに支障が生じるなど中小企業を取り巻く経営環境が一段と厳しさを増したため「融資及び緊急保証制度に関する説明会・相談会」を2009(平成21)年5月25日に開催。会員事業者から、諸制度に対する説明等の要望に応えたもので、経営支援の一環です。 説明会では、国および東京都のセーフティネット保証(緊急保証制度)の内容、融資手続き・融資借換えの一本化──などについての具体的説明を、東京都や東京信用保証協会等からの担当者が行い、その後「個別相談」が行われました。
東京都、主要業種団体協議会、下請取引適正化推進員協議会の3者は2009(平成21)年6月25日に初の合同会議を開催し、「下請取引の適正化に向けた共同宣言」を採択。中小企業の経営基盤の安定・強化を図り、東京の産業力のさらなる成長を後押しするため、3者が協力していくことを宣言しました。主要業種団体協議会は、日本産業機械工業会、日本食品機械工業会など12団体で、「推進員協議会」は東京都トラック協会、日本ソフトウエア産業会など10団体で構成しています。
東京都トラック協会が担当幹事協会として2009(平成21)年9月9日に開催した第54回関東トラック協会事業者大会は、8月の総選挙の結果、自民党から民主党へ政権交代後の初めての大会となりました。星野良三関ト協会長(東京都トラック協会長)は、「政権交代と政治情勢が変化するため業界が一致団結し、しっかりとした理念と信念で物事に当たることが最重要。経済産業と国民生活のため1都7県の事業者が団結して適時適切な運動を展開しよう」と呼びかけ、そのためには政府の具体的な取り組みを注視する必要があるとしました。同時に、こうした情勢変化の時代でもトラック運送事業運営上、最重要なのは「輸送の安全確保」として事故防止の取り組みを求めました。
東京都トラック協会(星野良三会長)は2010(平成22)年2月23日、東京都トラック運送事業協同組合連合会(植田昌宏会長)と連名で、民主党副幹事長(幹事長室国土交通省担当)の阿久津幸彦衆議院議員に、高速道路料金見直しに関して「大口・多頻度割引制度」の継続などを求める「高速道路料金割引制度に関する要望」を行いました。 高速道路料金の割引制度について、既存の制度を見直し「上限料金制度に一本化する」方向で国土交通省が検討しているといわれ、その場合、現行の時間帯割引、大口・多頻度割引等からなる割引制度が廃止され、中小零細のトラック事業者にとって、現行割引後料金の値上げになるばかりでなく、高速道路利用の必須条件であるETCコーポレートカードでの利用が困難となり、高速道路利用から排除されるに等しいものとなってしまうと「危機感」を表明し、要望したものです。 要望事項は、(1)高速道路料金割引制度の見直しにあたっては、現行割引後料金を上回らないこと(2)トラック運送事業協同組合によるETCコーポレートカード契約に対する「大口・多頻度割引制度」を継続されたい(3)営業用トラックの割引制度の創設を図られたい──の3事項です。
なお、要望では大口・多頻度割引制度下でトラック運送事業協同組合が果たしている役割として▽料金の請求事務代行▽料金の一括払い(債権回収保全機能=毎月の利用額を高速道路会社に一括代行納付)▽料金の支払い保証(債権回収リスク管理機能)▽事業者・運転者研修の実施▽高速道路の利用促進──などを挙げ、さらに都内のトラック運送事業協同組合利用状況を示して、新たな料金均一化制度になった場合、現行に比べ大幅な値上げになるとのシミュレーションも添付しています。
東京都トラック協会(星野良三会長)は、2009(平成21)年秋以降に流行が懸念されていた新型インフルエンザ(H1N1型)に対応するため、7月23日の理事会で星野会長を本部長とする「新型インフルエンザ対策本部」設置を決め、即日スタートさせ東ト協の体勢を整えました。新型インフルエンザは、ほとんどの人が基礎免疫を持っていないことからウイルスに感染しやすく、流行が起こりやすいものです。そのため感染者が出た場合、事業運営に大きな影響が懸念されました。中小企業庁でも早くからリーフレット「新型インフルエンザとBCP(事業継続計画)」でインフルエンザ流行が物流の中断を招く可能性を指摘し、大流行に備えて経営への影響を最小限に止めるためBCP策定を求め、同庁のホームページには「中小企業BCP策定用指針」を掲載しました。
新型インフルエンザは、2009(平成21)年にメキシコで発生した豚由来のインフルエンザで、WHO(世界保健機関)が2009年6月に世界的な流行を宣言しました。日本では8月に厚生労働大臣が「本格的な流行がすでに始まっている」として、予防を呼びかけました。新型インフルエンザ(H1N1型)は弱毒型ですが、その心配を増幅させたのは、その前に発生した強毒型鳥インフルエンザ流行につながるのではと心配されていたからです。東ト協では、対策本部設置前の6月に、新型インフルエンザ対策を会員事業者に求めるとともに、協会本部に消毒用アルコールなどを設置したり、各種情報を会員に提供するなどの対応を進めてきました。また、9月には▽感染予防のための手洗いとうがいの励行▽咳エチケット▽職場の清掃・消毒▽感染したと思ったらどうするか──などを呼びかける事業場掲示用ポスター「新型インフルエンザ感染防止対策のポイント」を全会員事業者に送付したり、10月には従業員家族のため家庭用のパンフレット「新型インフルエンザ対策用パンフレット(家庭用保存版)」を全会員事業者に配布しました。また、研修用に利用してもらうためDVD「強毒性新型インフルエンザの脅威」「新型インフルエンザ対策」を10月中旬に各支部に配備しました。
東京都トラック協会が2006(平成18)年度からスタートさせた「グリーン・エコプロジェクト(GEP)」が、2009(平成21)年12月にデンマークの首都・コペンハーゲンで開催されたCOP15(国連気候変動枠組条約第15回締約国会議)の「車社会おける持続可能な環境対策会議」において、国土交通省から日本業界における先駆的事例の取り組みとして紹介されました。同プロジェクトは、2007(平成19)年度に環境大臣賞を受賞し、2009年度には東京都環境賞・知事賞を受賞しています。 GEPは、東ト協が全国に先駆けて実施している独自の省エネ・地球温暖化防止対策事業です。燃費データベースの構築を柱に、参加事業者へエコドライブ活動を推進し、燃費向上・交通事故低減・グリーン経営認証取得・改正省エネ法対応──など、環境対策に必要な事業をサポートするものです。スタートから4年間で470社1万500台の車両が参加し、その成果(2009年10月末現在)は、参加車両の累積削減燃料が647万6,974?(ドラム缶換算で約3万2,385本に相当)、CO2削減効果が1,697万kg/CO2(スギの木約121万本の植樹に相当)です。また、交通事故についても40.6%削減しています。
東京都トラック協会は2009(平成21)年9月16日、国土交通省の「自動車運送事業の監査方針、行政処分基準等の改正について」の意見公募(パブリックコメント)(9頁参照)に応じて、(1)運送事業に対する行政処分強化は関係法令違反減少に効果があること(2)処分基準強化の妥当性には、データに基づく合理的かつ透明性のある説明が必要であること(3)行き過ぎた規制緩和の状況解消を優先すべきこと──などの意見を提出しました。東ト協は意見で、▽これまでの行政処分強化による関係法令違反減少の効果の検証▽今回の基準強化による効果についての客観的な説明▽処分の妥当性について項目ごとの合理的で透明性のある説明▽処分強化だけでは事故のない車社会作りは不可能▽参入規制の見直しや標準運賃等の設定など環境整備を優先すべき ──などを指摘しています。(提出意見は『資料:東ト協が「自動車運送事業の監査方針、行政処分基準等の改正」に対して提出した意見』参照)
東京都トラック協会は、2010(平成22)年2月19日、国土交通省がアルコール検知器導入義務付けのために検討している「貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部を改正する省令並びに関係通達の改正」に対して、「飲酒運転に対するこれまで行われてきた一連の行政処分強化の効果や浸透状況の成果検証を優先すべきで、改正は時期尚早」との意見など、導入義務付けに対する全体的な意見と改正条項についての具体面からの意見を提出しました。これはパブリックコメント(意見公募)に応じたもの。 東ト協は、飲酒運転に対する行政処分は2005(平成17)年以降強化されており、2009(平成21)年10月施行の監査方針と処分強化(35頁参照 同案に対して東ト協が提出した意見は上記掲載)で「飲酒運転違反をした事業者にとっては事業存続が困難となる極めて厳しい処分基準」となったと指摘。行政処分強化の効果や浸透状況の観察期間をおき、その成果検証を優先すべきであり、「今回の点呼時にアルコール検知器の使用義務付けに伴う検知器の備付け義務規定は、特に経営危機にある中小事業者に大きな経済的負担」を伴い、改正は時期尚早、据え置くことを求めました。 また、アルコール検知器の使用義務付けの場合には、危機的経営状況にある貨物自動車運送事業者に対して、検知体制整備支援のため「事前にアルコール検知器購入補助制度を設けるべき」としています。
具体面からは、検知の仕方や記録、対応方法、検知器の精度・機能等検知器自体の問題、携帯するアルコール検知器としてどのような機器を想定しているのか等、改正条項について問題点や疑問点を指摘しています。