全日本トラック協会は2009(平成21)年12月9日、営業用トラックのCO2排出量削減目標を定めた環境自主行動計画の目標達成度を発表しました。トラックの輸送量は経済情勢により大きく変化し、それに伴うCO2排出量の絶対数も変化するため、目標値は業界の努力の及ぶ範囲である排出量原単位(輸送トンキロ当たりの燃料消費量)で設定しています。目標は、2008(平成20)年度~2012(平成24)年度の平均値で1996(平成8)年度比30%削減をめざすものですが、2008年度の実績値で28%削減しており、今後も引き続きエコドライブや低公害車導入などの諸対策を確実に進めることにより、2010(平成22)年度に目標を達成する見込みです。
全日本トラック協会は従来から、エコドライブ推進マニュアル、省エネ運転マニュアルなどの作成やEMS機器等に対する助成などを通じてエコドライブを推進し、各都道府県トラック協会でもエコドライブ講習会を開催するなど、積極的に普及促進を図っていますが、2009年度からは環境対策の柱の1つとして位置づけ、事業者の目につくわかりやすい活動として展開しています。具体的には、環境省などが毎年実施している「エコドライブコンテスト」を後援し、多くの事業者が参加できるよう周知を図っているほか、国のエコドライブ推進月間と合わせ、毎年11月を「エコドライブ推進強化月間」と定め、啓発活動を強化しています。
低公害車導入に向けては、全日本トラック協会と都道府県トラック協会が毎年度助成を行っており、2008年度末の累計助成台数はCNG車1万3,980台、ハイブリッド車7,065台の合計2万1,045台に達しています。鳩山内閣は、2020年の温室効果ガス排出量を1990年比で25%削減することを提案しており、トラック運送業界も今後さらに地球温暖化対策への取り組みを求められることになりそうです。
環境省は2009(平成21)年11月11日、2008年度の温室効果ガス排出量(速報値)を発表しました。金融危機を背景とした年度後半の急激な景気後退により、産業部門をはじめとする各部門のエネルギー需要が減少したため、総排出量は前年度比6.2%減の12億8,600万トンとなりました。京都議定書の基準年(1990〈平成2〉年)と比べると1.9%上回っています。 部門別にCO2排出量を見ると、工場などの産業部門が前年度比10.4%減の4億2,000万トン(90年比13.0%減)と大幅に減少し、運輸部門は前年度比4.1%減の2億3,600万トン(同8.5%増)となっています。事務所などの業務その他部門は前年度比4.0%減の2億3,200万トン(同41.3%増)、家庭部門は前年度比4.6%減(同34.7%増)などとなっています。
運輸部門のうち、トラック(自家用、営業用合計)からの排出量は、貨物輸送量の減少により、前年度比4.3%減の8,200万トンとなり、1990年比では13.3%減となりました。1990年比では、自家用トラックからの排出量が減少する一方で、営業用トラックからの排出量が増えていますが、これは自家用トラックから営業用トラックへの転換(自営転換)が進んでいるためで、より輸送効率の高い営業用への転換が進むことで、トラック全体の排出量は大きく減少しています。