環境省は2008(平成20)年11月12日、2007(平成19)年度の温室効果ガス排出量(速報値)をまとめました。このうち、営業用トラックからのCO2排出量は前年度比1.1%減の4,481万トンとなり、5年ぶりに減少に転じました。自家用トラックの排出量は同3.7%減の4,358万7,000・となり、1994(平成6)年以降13年連続で減少しています。京都議定書の基準年である1990(平成2)年度比で見ると、営業用トラックからの排出量が30.9%増加しているのに対し、自家用トラックは27.8%減少しており、トラック合計では6.5%減少しています。輸送の効率が高い営業用トラックへの自営転換が進んだことが、CO2排出量の減少に寄与していることを表しています。
2007年度の温室効果ガス総排出量は、原子力発電所の稼働率低下などの影響で前年度比2.3%増の13億7,100万トンとなり、1990年の排出量を8.7%も上回っています。京都議定書では2010(平成22)年度に1990年度比6%削減することを目標としていますが、森林吸収や京都メカニズムによる削減を除いてもなお9.3%の排出削減が必要で、目標達成は厳しい状況です。
中央環境審議会のグリーン税制専門委員会(委員長=神野直彦東京大学大学院経済学研究科教授)は2008(平成20)年11月14日、環境税導入に向けた論点整理を行いました。京都議定書の目標達成のため、環境税導入に向けた歩みを進めていくべきだと指摘し、具体的には、炭素含有量に比例して税を課す炭素税がベストだが、揮発油税などの既存エネルギー諸税を炭素税に衣替えしていくべきだと提言しました。
論点整理ではまた、揮発油税をはじめとする道路特定財源の一般財源化に当たり、地球温暖化対策の観点から、暫定税率を維持すべきだと主張しました。