参議院での与野党逆転というねじれ国会で、道路特定財源問題が最大の焦点となっています。政府は2008(平成20)年1月23日の臨時閣議で、道路特定財源(国税)の暫定税率10年延長を盛り込んだ租税特別措置法改正案を含む税制関連法案を決定し、国会に提出。同時に、一般財源化を可能とする措置や、高速道路料金引き下げのための措置などを盛り込んだ道路整備費財源等特例法改正案も閣議決定し、提出しました。軽油引取税など道路特定財源地方税の暫定税率延長を盛り込んだ地方税法等改正案は同月25日に提出されました。
財源特例法改正案では、従来揮発油税と石油ガス税の税収を全額道路整備に充当しなければならないとされていたものを、税収が道路整備費を上回る場合には毎年度の予算で一般財源化できるように改めました。
参院での第1党である野党民主党は、暫定税率の撤廃と道路特定財源の全額一般財源化を主張し、「生活第一・ガソリン値下げ国会」と位置づけて対決姿勢を強めています。国会審議では、暫定税率のほか、総額59兆円に上る道路中期計画の妥当性、道路特定財源の使途のあり方、さらなる一般財源化などが審議の焦点となっています。 与党が安定多数を握る衆議院では、2月29日に予算案と税制関連法案が与党の単独採決により可決され、衆院を通過しました。一方民主党も同月同日、道路特定財源の一般財源化と暫定税率の廃止を柱とする道路特定財源制度改革関連3法案を参議院に提出しました。法案審議の舞台は野党が過半数を占める参議院に移りましたが、3月末の暫定税率期限切れをにらみ、法案修正も視野に与野党の攻防が続くと見られています。
首都高速道路会社は2007(平成19)年9月20日、08(平成20)年10月から実施する予定の距離別料金の素案を発表しました。ネットワークの拡充に伴い、利用距離のばらつきが拡大するなかで、利用者負担の公平化を図るために現在の一律料金を改め、短距離利用を安く、長距離利用を高くする料金案です。
ただ、首都高会社の素案では、東京線の場合、大型車(現行1,200円)の下限を800円、上限を2,400円としており、長距離利用は現行の1.7倍もの大幅な値上げとなります。利用距離が3.0㎞未満は800円、3.0㎞以上は距離に応じて100円刻みで高くなり、10㎞以上19㎞未満は現状と同じ1,400円、19㎞以上は再び距離に応じて100円刻みで上昇し、32.5㎞以上は上限価格である2,400円となります。
同様の料金案は、阪神高速道路会社も発表し、長距離利用が多いトラック運送業界が猛反発しました。
東京都トラック協会の調査では、首都高東京線で利用距離19㎞以上のトラックの通行台数は全体の約7割を占め、これらがすべて値上げとなる計算です。値下げとなるのは全体の1割で、現行料金と負担が変わらないのが2割。
このため全日本トラック協会は9月28日、「長距離利用者にとっては実質的かつ大幅な値上げにほかならず、高速道路の利用促進にも逆行する」との意見書をまとめ、首都高速および阪神高速の両道路会社に提出しました。
国土交通省では、道路特定財源の一部を投入して上限額を引き下げる考えを示しています。
国土交通省と中日本高速道路会社、東日本高速道路会社が整備を進めていた圏央道の八王子ジャンクション~あきる野インターチェンジ間9.6㎞が2007(平成19)年6月23日、開通しました。東京西側で初めて放射の高速道路間(中央道~関越道)が接続されました。
首都高速道路会社が建設を進めている首都高速中央環状線のうち、4号新宿線と5号池袋線をむすぶ延長6.7km区間(山手トンネル)が、07年12月22日に開通しました。この開通により、4号新宿線(中央道方面)と5号池袋線(美女木・大宮方面)・川口線(東北道方面)・6号三郷線(常磐道方面)が中央環状線で接続され、都心環状線を通らなくても放射線相互の利用が可能になりました。
東日本高速道路会社が建設を進めてきた北関東自動車道の3県3区間合計延長32.4kmが08(平成20)年3月8日から4月12日にかけて開通。群馬県、栃木県、茨城県の3県で各1区間が開通するもので、総延長約150㎞の北関東自動車道の約7割が完成することになります。
整備が進む首都圏の環状道路ですが、通行料金が割高なため、東京都をはじめとする首都圏の1都3県は07年7月24日、圏央道や東京湾アクアラインの料金引き下げを求める提言を国土交通省に提出しています。
2006(平成18)年6月に施行された改正道交法により、駐車違反の取締りが強化され、とくに都市部では駐車スペースが不十分なため、荷物の積み卸しなどで駐停車を余儀なくされる営業用トラックにも大きな影響が及びました。
警察庁は07年(平成19)2月6日、全国の各都道府県警に対し、駐車規制の運用見直しについての通達を発出しました。このなかで、貨物の積み卸しや集配のため、貨物自動車の駐車が不可欠な道路では、一定の条件下で駐車規制から除外するなど、物流の必要性に配意した駐車規制の見直しに努めるよう促しました。
全日本トラック協会の調査によると、2007年12月7日現在、47都道府県中14道県で物流に配慮した何らかの駐車規制見直しが行われていますが、東京では通達を受けての見直しはとくに行われていません。
警察庁が07年6月14日にまとめた、駐車違反取締り強化後1年間の施行状況によると、放置駐車違反取締件数は254万5,868件となり、このうち放置違反金納付により使用者責任を問われたものが62.7%に当たる159万7,280件、反則金納付による運転者責任が22.9%の58万3,486件となりました。これら以外は手続き中で、車検拒否や滞納処分の対象となる督促済が27万4,272件、督促準備中が9万830件となっています。