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交通安全・事故防止のために

安全マネジメントを義務づけ

 政府は2006年1月31日、運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律案(運輸安全一括法案)を閣議決定し、国会に提出しました。全事業者に常に安全最優先の事業運営を行うための仕組みである「安全マネジメント」を導入させるもので、年度内に成立し、2006年10月から施行される見通しとなっています。鉄道、航空、自動車、海運の各輸送モードごとの事業法など計12件の法案を一括して改正するもので、貨物自動車運送事業法改正案も含まれ、トラック運送事業も対象となります。
 法改正では、輸送の安全の確保を法の目的として追加するほか、安全確保が最重要であることを自覚し、絶えず安全性の向上に努めることを事業者の責務として明記します。具体的には、(1)経営トップが全社的な安全性向上の取り組みを主導し、企業全体に安全意識を浸透させる(2)現場の声を安全性向上策に継続的に反映させるなど、企業全体の安全性を計画的に向上させる(3)参加型研修・指導等の実施により運転者の能力を向上させる──ことをトラック運送事業者の責務として課し、経営トップから末端の現場まで情報が伝わりにくい一定規模以上の事業者に対しては、安全管理規程の作成と安全統括管理者の選任を義務づけます。規模要件は省令で定められることになりますが、トラック運送事業については保有車両数300台以上とすることで調整が行われています。
 安全マネジメントの導入は、JR西日本福知山線の脱線事故、JALのトラブル続発、トレーラの踏切衝突事故などの発生を踏まえ、運輸関連企業において安全最優先の意識が形骸化しているなどの問題点が指摘され、国土交通省が検討を進めていたものです。発生した事故やトラブルでは、経営トップが現場の状況を把握せず、安全管理が十分機能していない実態が問題となったため、従来からの現場の監査に加えて、経営トップを含む企業の体制整備が必要だと判断されました。この安全マネジメントをトラック運送事業など自動車運送事業の分野に適用するに当たり同省自動車交通局では、従来からの運行管理制度の徹底、監査の強化とあわせて三位一体で安全・安心な輸送サービスの提供を実現していく考えです。

予防的監査に転換

 国土交通省は2006年2月1日から、トラック運送事業者に対する監査方針と行政処分基準を改正し、実施しています。事故発生に至る前に事業者の潜在的なリスクをチェックする監査機能を強化するため、事故の予防的観点からの監査に重点化するもので、監査は原則無通告で行うとともに、再違反の処分基準を引き上げて厳罰化する一方で、軽微な違反については文書警告にとどめるなどメリハリをつけました。
 また、従来は車両使用停止などの処分を行えばそれで完結していたものを、2月からは処分後もその改善状況を報告させ、報告がない場合には再度特別監査を実施し、改善されるまでフォローアップしていく仕組みに変えました。さらに、監査の結果違反事項がなく、処分対象とならなかった場合は、適正化実施機関による巡回指導を通じて改善状況をフォローしていくことになりました。

放置駐車の取締り強化

 2006年6月から、改正道交法により放置駐車の取締りが強化されます。まず、車両の所有者(車検証上の使用者)責任を強化し、運転者が反則金を納付しない場合、所有者が放置違反金の納付を命じられることになります。営業用トラックの場合、運送会社に責任が及ぶことになります。また、放置車両の確認と標章(ステッカー)の取り付けという取締り業務を民間委託できるようになります。警察力をより悪質な犯罪の摘発に振り向けることが目的ですが、問題はこの民間委託に当たり、短時間駐車であっても放置車両であることが確認できた車両については、即刻ステッカーの取り付け対象として摘発する方針へと運用を見直す点です。
 都市内では、多くのトラックが日夜、都市生活に必要な貨物を運び、積み卸しをしています。駐車場や積み卸しスペースが十分に確保されていない現状でのこうした一律の取締りは、トラックの活動に大きな制約を与え、市民生活に不可欠な都市内物流に大きな問題を与えかねません。このためトラック運送業界では、荷捌き作業中の営業用トラックについては規制の適用から除外するよう求めており、東京都トラック協会も2006年1月25日、警視庁に対し、貨物荷捌きへの特段の配慮を求める要望を行っています。

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