原油価格の高騰を背景に軽油価格が上昇し、トラック運送事業者の経営を圧迫しています。全日本トラック協会が2004年6月21日から25日までの5日間、全国の会員事業者1万5,000事業所を対象に実施した軽油価格緊急実態調査の結果速報によると、回答を回収した4,610事業所の6月の軽油価格は、2月に比べて4~5円値上がりしていることがわかりました。
事業に及ぼす影響について意見を求めたところ、大半が運賃に転嫁できないため「収益が悪化し、経営が苦しくなる」と訴え、なかには「運賃への転嫁どころか運賃引き下げの要請がきている」「取引を中止されてしまうので運賃の交渉すらできない」といった切実な声も目立ちます。
同協会が2005年1月に行った軽油価格の運賃への転嫁状況調査の結果によると、軽油値上がり分を「運賃に全く転嫁できない」と答えた事業者は86.0%にのぼりました。収益への影響については47.7%が「収益悪化に大きく影響している」と答え、「やや影響している」(40.8%)もあわせると9割近い事業者が悪影響を受けています。
国土交通省は経済産業、農林水産両省と連携して2005年3月、流通業務の総合化および効率化の促進に関する法律案(仮称)を国会に提出しました。物流事業者が荷主に対して輸送・保管・流通加工などの物流業務を総合的に提供する、いわゆる3PL事業を支援することが狙いで、物流事業者と荷主が共同で総合効率化計画を策定し、主務大臣が認定した計画に対して、各種の支援措置を適用する仕組みです。
物流拠点を集約化して、高速道路インターチェンジ周辺や臨港地区に立地を促進し、共同輸配送などにより配送ネットワークを合理化して、効率的で環境負荷の小さい物流を実現することが計画認定の要件です。
支援措置としては、倉庫業、貨物自動車運送事業、貨物利用運送事業の許可などを一括取得できるほか、物流拠点施設整備に対する税制上の特例、さらに施設の立地に当たり、市街化調整区域での開発許可についても配慮することになっています。
また、中小企業に対する支援として、中小企業信用保険の限度額拡充、食品流通構造改善促進機構による債務保証、中小企業金融公庫等による低利融資なども受けられます。
国土交通省では関係団体とともに、2004年10月から物流事業者を対象とした3PL人材育成研修も展開しており、これらの施策により物流コストの2割削減、CO排出量の2割削減をめざしています。