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交通インフラ・交通環境の動き

別納割引制度を廃止

 国土交通省は2003年9月19日、高速道路料金の別納割引制度を廃止する方針を打ち出しました。扇千景・前国土交通相が記者会見で表明したもので、10日後の同月29日には日本道路公団が別納制度への新規加入の受付中止を発表しました。一部異業種協同組合によるスキャンダルが明るみに出て、国会や道路関係4公団民営化推進委員会でも制度そのものに対する疑問や廃止を求める意見が出されていたことに対応したものですが、扇前国土交通相は会見で、トラックやバスなど本来割り引くべき大口、多頻度利用者に対しては、ETCを前提とした新たな割引制度を創設し、2004年度以降順次移行させていく考えを示しました。
 別納制度廃止の報に、トラック運送業界には激震が走りました。比較的規模の大きな会社は企業単位で、中小企業は事業協同組合単位で道路公団と別納契約を結んでおり、実質的な値上げともなれば、トラックの高速道路離れに拍車がかかるのは必至です。全ト協と日貨協連が実施したアンケート調査の結果によると、不況を背景にすでに現状でも8割の事業者が高速道路の利用を控えていると答え、割引率が縮小した場合には7割の事業者が高速道路の利用を減らすと答えています。  全日本トラック協会と日本貨物運送事業協同組合連合会は2003年10月10日、高速道路料金の大幅引き下げと事業協同組合の利用を含めた現行別納制度と同等の割引制度創設を、国土交通省と日本道路公団に要望しました。
 別納制度に代わる新たな割引制度は、当初2003年度内には明確になると見られていましたが、日本道路公団では2005年度の民営化にあわせて料金制度全体を見直すことにしており、別納に代わる新制度も時間をかけて検討していく方針です。新制度としては、利用すればするほど割引率が高くなるマイレージ制度の導入が検討されています。日本道路公団では民営化までにマイレージ割引のほか、夜間割引、通勤割引、暫定2車線割引、乗り継ぎ割引などの導入により、通行料金を平均1割引き下げる考えで、将来的には、基本料金の値下げも含めた聖域なき見直しを行い、最大2割引き下げができるようあらゆる選択肢を検討する考えを示しています。

高速料金割引で社会実験

 国土交通省は2003年度から、高速道路の通行料金を引き下げた場合にどの程度利用が増え、周辺一般道路の沿道環境改善や渋滞緩和などへの効果がどの程度あるかを検証するため、全国各地で高速道路料金に関する社会実験を実施しています。2003年7月19日から高速道路の長距離割引を実施したほか、全国各地からの提案に基づく地域ごとの料金社会実験を実施しています。長距離割引は、300km以上利用するETC車を対象に、利用距離に応じて2~20%まで段階的に割引率を高くするもので、当初1月18日までの予定でしたが、ETC料金所の整備拡大を受けて3月18日まで延長されました。地方からの提案型社会実験は全国合計22件の実験を実施し、各地で実験期間中の高速道路利用が増加し、一般道路の渋滞や騒音が改善したという報告が発表されています。
 首都高速道路でも2003年11月28日から3月1日まで、ETC車を対象とした夜間割引社会実験が行われ、割引時間帯のETC車交通量が増えるなどの効果が現れていることから、同実験を3月31日まで延長することにしました。

道路公団民営化へ4法案

 政府は2004年3月9日、道路関係4公団民営化に伴う関係4法案を閣議決定し、国会に提出しました。4法案は、高速道路株式会社法案、独立行政法人日本高速道路保有機構法案、日本道路公団等民営化のための道路関係法整備法案、日本道路公団等民営化関係法施行法案です。高速道路株式会社法案では、高速道路の建設・管理・料金徴収を行う特殊会社として、東日本、首都、中日本、西日本、阪神、本州四国連絡の計6つの高速道路株式会社を設立することを明記し、本四会社については経営安定化時点で西日本会社と合併する方針を示しています。保有機構法案では、巨額の債務と道路資産を引き継ぎ、債務の償還と道路資産の会社への貸し付け、貸付料の徴収などを行う独立行政法人として日本高速道路保有機構の設立を定めました。また、機構の債務に対する政府保証ができる旨を規定したほか、民営化から45年後に機構は解散し、高速道路は国と地方に帰属して無料開放されることになります。整備法案のうち道路整備特別措置法改正案では、公団に対する施行命令方式を廃止し、自主的経営判断に基づく許可申請方式とすることを定め、施行法案では建設中・計画中の高速道路について、国土交通大臣が複数の会社と協議して建設すべき区間を指定する仕組みを定めました。
 道路関係4公団の民営化は、2005年度中に実施されることになっています。

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